日本人同士だと婚姻届を提出するだけで完了するものですが、国際結婚となるとそう簡単にはいきません。今回の記事では、私たち夫婦が実際に行った婚姻手続きでかかった、全ての費用と期間を大公開します。
この記事は日本人の夫とフランス人の妻が2019年~2020年にかけて国際結婚の手続きをした時の情報になりますので、最新の情報は在日フランス大使館等の公式な情報をご参照ください。
私たち夫婦はまず日本での婚姻手続きを完了させ、それからフランス側の手続きをする流れをとりました。手続きを開始した当時妻はワーキングホリデービザで日本に滞在していたので、その点でも少し手続きの詳細が少し異なる事があるかもしれません。
1.夫の「婚姻要件具備証明書」の取得準備
日本人の夫は戸籍謄本を取るだけで婚姻届を提出する準備がほぼ整いますが、フランス人の妻はもう少し煩雑です。まず、妻が公式に未婚である事を証明するための書類「婚姻要件具備証明書 / Certificat de Capacité Matrimoniale」というものを取得する必要があります。この「婚姻要件具備証明書」と、「婚姻要件具備証明書の日本語訳」、「妻のパスポートのコピー」が日本で婚姻届を提出する際の主な添付書類となります。
1-1.「戸籍全部事項証明書(謄本)」を取得
日本人が用意するのは、なにはともあれまず「戸籍謄本」です。この時点で「婚姻要件具備証明書」の取得用と「婚姻届」提出時の添付用の2部を準備する事をおすすめします。
費用:900円 / 期間:1日
(戸籍謄本発行手数料450円 x 2部 = 900円)
1-2.「戸籍謄本」に「アポスティーユ」をつける
アポスティーユとは、この書類は日本政府が発行した正式な公文書ですよーっていう証明のようなものらしいです。夫の本籍地の地方自治体が発行した戸籍謄本に、外務省がお墨付きをつけるようなイメージでしょうか。このアポスティーユ取得自体は手数料無料です。
外務省のホームページから「アポスティーユ申請書」をダウンロードできるので、印刷して必要事項を記入し、封筒に「戸籍謄本」と「アポスティーユ申請書」、「返送用封筒」を同封して外務省へ郵送します。すると、一週間程度で「アポスティーユ」がついた「戸籍謄本」が返送されてきます。(実際に外務省へ訪れて取得する事も可能なようです。)
費用:350円 / 期間:約一週間
(アポスティーユ取得手数料0円、郵送料120円 x 往復分 = 240円、返送用封筒A4サイズ110円)
1-3.「アポスティーユ付き戸籍謄本」の法定翻訳を取得
在日フランス大使館のホームページに、フランス政府公認の法定翻訳を行う会社の一覧があります。この中から会社を選んで法定翻訳をしてもらうわけですが、金額が会社によって異なります。各社のホームページに費用と法定翻訳の取得方法が記載されているので、自分が良いと思う会社を選んで法定翻訳を取得します。
取得の手順はだいたいどこも以下の通りでした。
- 戸籍謄本の写真をEメールに添付して送信
- 法定翻訳の取得費用の見積金額がメールで送られてくる
- 取得費用を翻訳会社の指定口座へ振込
- 戸籍謄本の原本を翻訳会社へ郵送
個人的には戸籍謄本という超プライバシーな情報をメールに添付する事に少し抵抗がありましたが、婚姻手続きを先に進める為には仕方ないと諦めました。法定翻訳が送られてくるときの送料は翻訳会社がもってくれました。
費用:4,840円 / 期間:約一週間
(法定翻訳取得手数料4500円、振込手数料220円、郵送料120円)
2.妻の「婚姻要件具備証明書」の取得準備
上記の夫の準備と並行して、妻のフランス側の手続きを進めます。妻はワーキングホリデービザで日本に滞在中だったので、在日フランス大使館に電話で確認して必要書類を集めました。
2-1.「出生証明書」の取得
おそらく日本の戸籍謄本のようなものだと思われる「出生証明書(Acte de Naissance)」というものを取得します。妻の地元の市役所のホームページから取得の申請が可能だったようで、書類は現地で親御さんに取りに行ってもらいました。そのあと日本への仕送りにこの書類も入れてもらい、約二週間後には日本に郵送されてきました。
費用:0円 / 期間:約二週間
(出生証明書取得手数料0円)
2-2.「質問票」の記載
在日フランス大使館のホームページから、「夫婦共通用の質問票」と「夫婦各個人用の質問票」の二つをダウンロードし、記載します。質問の内容は、血縁関係や出生地、子供の有無等、結婚に際して事実確認のような項目が並んでいました。全てフランス語の記載になるため、フランス語を読めない夫は妻の言いなりで全て記載してもらいました。
費用:0円 / 期間:三日程度
2-3.その他必要書類のコピー
妻はワーキングホリデーで日本に滞在していた関係なのか、在日フランス大使館から以下の書類のコピーも求められました。
- 在留カード
- Consulaire Card(フランス大使館に登録するともらえるカード)
費用:20円 / 期間:1日
(コピー代20円)
3.「婚姻要件具備証明書」の取得
必要書類が全て揃ったら、いよいよ「婚姻要件具備証明書」が取得できるようになります。妻は必要書類を全て携え、在日フランス大使館に直接出向いて申請を行いました。大使館への出入りには事前予約が必要だったりと色々制限があるようです。必要書類に不備がなければ、約二週間程度で「婚姻要件具備証明書」が郵送されてきます。
費用:0円 / 期間:約二週間
4.「婚姻届」の提出
「婚姻要件具備証明書」が届いたら、やっと「婚姻届」の提出ができます。ここに来るまでにすでに約一か月…やっと日本側の婚姻手続きを進められます。
4-1.「婚姻要件具備証明書」の日本語訳作成
「婚姻要件具備証明書」はフランス語で記載されているため日本語への翻訳が必要になります。これは、夫のお手製翻訳でも問題ありませんでした。A4のコピー用紙に手書きで翻訳文を記載し、翻訳人は夫である事を署名するだけで完了です。
費用:0円 / 期間:一日
4-2.妻の印鑑を購入
婚姻届には押印欄がありますが、市役所に問い合わせたところ外国人の妻の場合であっても押印が必要との事だったので、妻の人生初の印鑑を購入する事になりました。印鑑を購入したのは、ドン・キホーテの印鑑自動販売機。お値段も1,000円程度でデザインも申し分なし。妻の下の名前をカタカナで記載した独特な印鑑が約15分で購入できました。
費用:1,000円 / 期間:一日
4-3.「婚姻届」を提出し「婚姻届記載事項証明書」を取得
日本ではただの事務手続きなイメージがある婚姻届の提出ですが、フランスではこの提出の瞬間は特別なセレモニーだそうです。地元の役所へは両家の親族一同が出向き、市長と両家の対談のような形で談笑しつつ、書類を提出するのが一般的だとか。そのため、妻の親御さんもこの瞬間のためにわざわざ日本まで来られ、一緒に市役所までいきました。
必要書類には特に不備もなく、無事に「婚姻届」が受理されました。フランスと違いすぐに手続きが完了したので、親御さんはちょっと物足りない感じがあったようですが、何はともあれ無事に日本側の手続きが完了したので一安心でした。
この後フランス側の手続きが控えているので、このタイミングで「婚姻届記載事項証明書」を取得します。「婚姻届」を受理して頂いた担当者の方が、その流れですぐに「婚姻届記載事項証明書」を作成して手渡ししてくれました。
5.フランス側の婚姻手続き
5-1.「婚姻届記載事項証明書」に「アポスティーユ」をつける
前段で「戸籍謄本」につけたのと同じ要領で、「婚姻届記載事項証明書」も外務省に郵送して「アポスティーユ」をつけてもらいます。この段階くらいになると、「アポスティーユ」という単語もだんだんと耳に馴染んできます。
費用:240円 / 期間:約一週間
(アポスティーユ取得手数料0円、郵送料120円 x 往復分 = 240円)
5-2.「アポスティーユ付き婚姻届記載事項証明書」の法定翻訳を取得
これも「戸籍謄本」の時と同様です。ただ翻訳の文章量が多くなるためか費用が少し割高になります。
費用:6,430円 / 期間:約一週間
(法定翻訳取得手数料6,000円、振込手数料220円、郵送料210円)
5-3.在日フランス大使館へ婚姻書類提出
日本での婚姻手続きが完了した事をフランス側へ伝えるため、在日フランス大使館へ出向きます。といってもフランス側の手続きはフランス人が行わないと大使館が取り合ってくれないため、ここからは妻が手続きを進めてくれました。「アポスティーユ付き婚姻届記載事項証明書」、「アポスティーユ付き婚姻届記載事項証明書の法定翻訳」以外にも、「レターパック360」というものを郵便局で購入して持参する必要があります。
フランス大使館に上記書類を提出すると、大使館内に「この二人は結婚しますよー」っていう文言が書かれた紙が掲示板に約10日間掲示されます。これは、フランス現地でも市役所前の掲示板に貼られるようで、結婚に際するフランスの文化なのだそうです。
「レターパック360」はいわゆる返信用封筒で、フランス側の手続きが完了次第「家族手帳(Livret de famille)」と「婚姻証書謄本(Acte de mariage)」が同封されて自宅へ郵送されてきます。
これらの書類が手に入れば、晴れて全ての婚姻手続きが完了となります。お疲れ様でした。
費用:360円 / 期間:約一か月
(レターパック360円)
6.総期間と総費用
上記全ての工程にかかった総費用は14,140円、期間は約四か月でした。
7.配偶者ビザの取得はまた別の話
これまで詳細に婚姻手続きの内容を記載してきましたが、妻が日本で滞在するのに必要な肝心の配偶者ビザの取得は、婚姻手続きとはまた別の話になります。ワーキングホリデービザですでに日本に滞在中だった妻の場合は少し特殊なケースだったようで、配偶者ビザの取得でもさらに色々な事務手続きを踏む事になったのですが、その話はまた別の記事にまとめようと思います。
今回の記事が、少しでもフランス人との結婚を控えている方の手助けになれば幸いです。
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